<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 登樓>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 登楼>
<BookPage: 379>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
花近高樓傷客心，
萬方多難此登臨。
錦江春色來天地，
玉壘浮雲變古今。
北極朝廷終不改，
西山寇盜莫相侵。
可憐後主還祠廟，
日暮聊爲梁甫吟。
<End Poem>
<Translation>
花（はな）は高楼（こうろう）のすぐ近（ちか）くにまで咲（さ）いているが、それはかえって異郷（いきょう）にあるわたしの心（こころ）を悲（かな）しませる。天下（てんか）いたるところ、国難（こくなん）の多（おお）い今（いま）、ここ高楼（こうろう）に登（のぼ）って四方（しほう）を眺（なが）めまわしているからだ。錦江（きんこう）の春景色（はるけしき）は、あたり一帯（いったい）の天地（てんち）に満（み）ちて迫（せま）って来（き）ており、玉塁山（ぎょくるいざん）あたりの浮（う）き雲（くも）は、昔（むかし）も今（いま）も変（か）わりなく変化（へんか）して移（うつ）ろいやまぬ人（ひと）の世（よ）を暗示（あんじ）している。

だがしかし、北極星（ほっきょくせい）にも似（に）たわが長安（ちょうあん）の朝廷（ちょうてい）は、けっきょくは不変不動（ふへんふとう）のものである。西山（せいざん）のあたりに侵入（しんにゅう）した盗賊（とうぞく）どもよ、侵入（しんにゅう）しようなどとすることはやめなさい。ああ、あの凡庸（ぼんよう）な劉禅のような君主（ぐんしゅ）でさえ、補佐（ほさ）の名臣（めいしん）を得（え）れば、足（あし）もとに見（み）えるような廟（びょう）に祭（まつ）られることになるのだ。日（ひ）の暮（く）れ方（かた）に、孔明（こうめい）のような英傑（えいけつ）の出現（しゅつげん）を願（なが）ってただなんとなく、孔明（こうめい）の愛唱（あいしょう）した梁甫（りょうほ）吟（ぎん）を口（くち）ずさんでみるのである。
<End Translation>